家庭内での凶悪な事件が増えている。
子どもが親を殺傷するような家庭内での凶悪な事件が年を追うごとに増えている。堅実、教育熱心、かつ家庭環境も悪くない「普通の家庭」の「普通の子」が、親に暴力をふるうケースが目立って増えている。この家庭内暴力はどこの家庭でも起こり得る。ではそのような事件がなぜ起きるのか。そのような事件にまでは至らないがその寸前、あるいはそれに繋がりそうな場合も以外に多い。
何故、普通の家庭の普通の子が
最近良くニート(若者の中で働かない、学ばない、職業訓練も受けない人)という言葉を耳にしますが、そこに家庭内暴力の温床があるようだ。その人数や家庭内暴力の実態は中々把握出来ないが日本全体では凡そ数十万から百万人位ではないか、その一割位が多かれ、少なかれ、家庭内暴力で悩んでいるのではないかと言われている。家庭内暴力は外には現れないから判らない。そのような家庭の一部では毎日が地獄のような生活を強いられている場合も想像に難くない。そのような中から子が親へ、あるいは堪りかねた親が子に対し暴力を振るい、事件となって表沙汰になるようだ。
何故、そのニートなる普通の子が暴力を振るうような状態にまで発展してしまうのか。
① 先ず考えられるのはそのような子どもさんは殆どが自宅に引きこもりの状態でいるであろうから「自分の未来が見えないことへの不安」が根本にある。
② 次は親と子供が「友達親子」という関係にあって、親が子どもに指針を示さないため、成長過程として大切な反抗期を子どもから奪ってしまい、それが後に問題を生じさせることになる。
③ 家庭内暴力を生み出すもうひとつの原因は「勝ち組教育」にあると考えられる。つまり「勝ち組教育」は親が子どものありのままの姿を受け止められない。勝ち組教育には成功の保証はない。勝ち組という目標を絶対視させることで、子どもの多様な可能性を奪いとってしまう。
親は子どもをどう育てればよいか?
子どもの年齢や発達段階に応じて、それにふさわしい育て方をすること。
① 3歳位までは、子どもを王様のように扱い、全抱擁の姿勢で全てを受け止める。
② 4歳位になったら、徐々に子どもの自由を奪い、親の言うことに従うように仕向けていく。
③ 7~12歳位の間は、今度は親の「召使い」として、有無を言わさず、色々なことに従わせる。勉強の他、家事の手伝いや躾などを通して、忍耐力をつけたり、欲求を我慢させる。
④ 15歳を超えたら、子どもの「自主性に任せる」。子どもに仕えるのも、子どもの人生を支配するのもやめて、子離れ・親離れをする。
こうした育て方は、子どもの価値観を育てる上でも、重要である。価値観を育てるには、先ずは子どもに親の価値観を押し付ける段階が必要になる。召使いの時期に親の価値観を自分のものにすれば、その後、子どもはそれを他の価値観と比較・点検できる。そして、今度は自分なりの価値観を作っていく。これをするのが、自主性に任せる時期である。
親の役割は、子どもを社会の中で生きていける「大人」に育てること、その大きな1つとして、親は子どもの価値観を育てねばならない。
参考資料:二神能基著「暴力は親に向かう」東洋経済新報社発行、及びTOPPOINT(2007.3月号) (株)パーソナルブレーン発行。